“家族で私が一番可愛がっているはずなのに、全然言うことを聞いてくれないんです。”
“ドッグトレーナーの指示は聞くのに、私の指示は無視されるんです”
“オヤツがあればスワレもフセもするのですが、オヤツがないとやってくれません”
犬のしつけで悩まれてる方は誰しも一度は上記の内容のことを考えたことがあるのではないでしょうか?
感情がある動物である以上、人によって態度を変えるのはよくあることです。特に犬はその人の雰囲気や、心の在り方を敏感に察して対応を変えるようなところがあります。
もちろん犬の性格も様々ですから十把一絡げに“犬とはこういうものだ”とは言えない部分はありますが、多くの人は褒められると嬉しい気持ちになる共通点があるように“犬もこうされると嬉しい”みたいな共通の性質というものがあります。
今回はこの犬の性質というものを考慮して、しつけが上手くいく人の共通点を解説していきたいと思います。
1.行動に一貫性がある。
犬は私たちが想像している以上に、一貫性を大切にしています。
もしこの一貫性のない行動を人がとった場合の信頼の失いっぷりは誇張でもなく、まさに百年の恋が冷めたかのようなさむざむしさがあります。
たとえば同じことをしても昨日は何も言わなかったのに、今日は叱られたなんてことは一番のNG行動です。また性格的に気分にムラのあるお天気屋さんの人もあまり犬に好かれない傾向にあります。
ここで想像してほしいのですが、もしあなたの会社の社長がムラっ気のある気分屋で朝令暮改の一貫性のない人物だとしたら信頼してついていくことが出来るでしょうか?
もちろん答えはNOだと思います。人の心理学でも言動と行動の不一致などの一貫性のない人物は嫌われる傾向にあるらしいのですが、犬も同様です。
しつけをキチンとしたいという方は、今すぐにあなたの辞書から「今日くらいはまぁいいか」という言葉を削除することをおすすめします。
2.やりきる強さがある。
以前、TVで格闘家がリングで戦っている時の相手の体臭はきついと言っていました。どうやら戦っている最中はめちゃアドレナリンがでて体臭がきつくなるらしいのですが、人は心の変化が身体に影響を及ぼすということを如実に語っている例ではないでしょうか。
最近の研究では犬は人のストレス値を体臭の微妙な変化により嗅ぎ分けられると言います。つまり犬は心の変化を簡単に看破できると言っても過言ではないということだと思います。
実際にドッグトレーニングの現場でも新人トレーナーと熟練のトレーナーが同じ犬、同じ方法でしつけをしていても犬の反応が全然違うことにびっくりします。
特に気の強い犬(日本犬はわりと性格が強い子が多かったです)だと“指示がなんぼのもんじゃい!”と明らかにイヤそうに抵抗することがあって、新人をたびたび困惑させていました。
ではここで本題!やりきる強さとは、多少犬が抵抗しても一度指示をだしたら完遂する強さということです。イヤイヤするから途中でやめてしまったりすると、犬の方はもうこの人の言うことを聞かなくても大丈夫となり、軽んじられる原因ともなります。
個人的にはドッグトレーナーと一般の飼い主さんをわける大きな違いはこのやりきるかどうか、そんな心の強さのような気がします。
3.感情表現が豊か。
言葉を用いる人間であれば嬉しい時には「嬉しい」と言えばすむ話ですが、こと人と動物では言葉が通じないので意思を伝えるには感情や雰囲気で、しっかりと意思表示をしなくてはなりません。しかも相手やっかいなことに犬は人の本音を見抜く達人なのでなおさらです。
しっかりと褒めてあげて下さいと伝えても、気恥ずかしさから遠慮がちに頭をなでるだけだったりすると、それはもう相手に全く伝わってないと思っても良いです。
逆に「No」や「ダメ」という言葉だけ強くても、心のどこかで“叱ることで嫌われたくない”、“キツくいって大丈夫かな”という本音が隠れていると言葉に力強さもないですし、犬の方もそんな本音をを見透かして全く響きません。
ちなみに強く叱ったとしても、叱る内容に一貫性があり、その後犬が同じ問題行動をしなかった際にしっかりと褒めてフォローすれば、関係性が崩れることはありません。
コミュニケーションの大原則として「自分がどう伝えたのかではなく、相手にどう伝わったかが大事」というのは人と犬の間でも同じです。
まとめ
犬を過度に擬人化するのは良くないですが、わりと人と犬の心理ってわりと共通している部分があります。そこに焦点をあてると割と家庭内のしつけもうまいくのではないでしょうか。
しつけは技術はもちろん大切ですが、ちょっとした心構えの変化も大きく結果に関わっているとご理解いただけたら幸いです。